KMCS概要
NII知識コンテンツ科学研究センター(Research Center for Knowledge Media and Content Science, KMCS)は、学術情報を収集し、統合することで、学術情報を幅広いユーザに有用な形で提供するサービスを研究開発するために設置されました。
研究成果を広く共有することは、学術活動の欠くことのできない必須の要素です。図書カタログカードによる情報の集積と検索といった物理的な検索から始まり、現代においてはデジタル情報による情報の収集、検索が一般化しています。さらに、昨今のオープンサイエンスの進展、デジタル化の高度化により、学術情報流通は大きく様変わりしています。
オープンサイエンスの進展に伴い、学術に関わる様々な情報が公開され共有されるようになりました。これまでは学術情報といえば、書籍と雑誌論文といった特定の情報の種類でした。しかし、オープンサイエンスにおいては多様な研究成果の公開が求められるようになりました。研究データやソフトウェアといった新しいタイプの研究成果が公開されるようになりました。論文としても単に雑誌論文と国際会議論文といったカテゴリだけでなく、プリプリントや著者版論文といった多様なカテゴリの論文も研究成果として利用されるようになりました。さらに研究成果だけでなく研究プロセスの公開も進んでいます。関与した研究者、機関、プロジェクト、研究助成金といった研究を成立させている情報も広く共有されるようになりました。このように、多様で広がりを持つ新たな学術情報の世界が生まれていま
一方、デジタル化の高度化は、このような学術情報を活用する新たな方法を提供しています。多様性を増し、年々増加する学術情報の取り扱いにおいては、永続的な識別子(PID)利用による情報の識別、統合が必要とされます。またそういったPIDが連携して構成されるPIDグラフは単に検索だけでなく、新しい学術情報の利用方法を提示しています。さらに昨今の人工知能の進展により、概要や本文情報からの情報抽出、さらには論文の理解支援まで可能になってきています。このような最新の技術を取り組んだ学術情報流通を実現する必要があります。
本センターでは、CiNiiを中心するNIIの学術情報流通を発展させ、学術知識基盤を実現するために研究開発を進めていきます。